【手で考える】
数年ほど前、はじめて建築家の伊礼智先生の住宅デザイン学校に参加したときに聞いた「手を練り、目を養う」という言葉に感銘を受けました。
有名な建築家が作った建築物を見て、街の美しいプロポーションの建物を見て、なぜ美しいのか、なぜその建物に居ると気持ちがいいのかを真剣に考え、いろいろと試行錯誤して真似てみるようになりました。
真似たからといって、上手くいくこともあれば、上手くいかないこともある。
自分なりに工夫し、ひとつひとつ自分のものにしていくと、自分の建築のスタイルというものが出来てきます。
「手で考える」とは、鉛筆で描いては消し、描いては消し間取りを考えていると、無駄のない、ワクワクした間取りが自然に出来上がるといった不思議な感覚の工程です。
最近ではCADで外観の色を考えるときもいろんな色で、いろんな組み合わせを考えてみます。
これも決して手を抜くことはできない工程です。
【心でつくる】
お客様と設計者が打合せを重ね、図面にしたもの、イメージしたものをそのまま形作ることができることは、工務店の強みだと思っています。
設計者と施工者が同じならば、直接職人さんに指示することができるからイメージのギャップも少なく間違いも少ない。
お客様の想いを知っているから妥協は許されません。
ただ、お客様の希望やイメージを指示するだけ、「職人さんにお任せ」じゃなく、現場で「職人さんと一緒につくる」「設計者の想いも注ぎ込む」感覚です。
場合によっては同じ日に時間を変えて、また毎日現場に行って一緒につくることもあります。
出来上がった時、お客様と喜びを共有するためには、少しも努力を惜しんではいけません。
また、この努力を惜しんでは、お客様と喜びを共有することはできません。
そうすることで、自然に職人さんたちにも感謝の気持ちで接することができるはずです。
【信頼関係】
私が住宅メーカーをやっていて最も大事なことは信頼関係だと思っています。
信頼関係のない仕事ほど悲惨なものはありません。
お客様との信頼関係、職人さんとの信頼関係は努力なしには勝ち取ることができません。
マイホームは人生で一番高い買い物だと言われます。
そのことが常に頭にあれば自分がやっている仕事が、いかに重い仕事か感じます。
だからお客様の希望であれば、多少確定期限の過ぎた変更が厳しいような内容でも、できる限りそれに近づける努力はするし、明日のいろんな職人さんの仕事がスムーズに進むためには事前の準備を怠ることはできません。