「不易流行」は松尾芭蕉の「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」から来ている言葉であるが、住宅建築というビジネスの世界では軸となるような言葉のように思えます。
「不易」はどのような業界にも当てはまることですが、変えてはならないものです。
例えば住宅の材料で使う「巾木」というものがあります。
床と壁を見切る材料で、今も必ずと言ってもいいほど使われています。
昔は10㎝以上あり装飾が施されたものが流行でした。
次第に小さくなり今では3㎝程度のものが主流となっています。
「巾木」があることで掃除機や雑巾がけを日々することで壁が傷みや汚れから守ってくれます。
時代時代の流行で大きさや形、色味は変わっても欠かすことのできない材料です。
経営の上でも「不易流行」は非常に大切です。
端的に言えば、
「不易」 企業の変わらない使命や価値=コーポレートアイデンティティ
「流行」 世の中の流れや企業のステージを加味しながら、変えていくその時その時の活動
企業の経営は、利益を追求するために目先の行動に走ってしまいがちです。
利益が上がり会社が繁盛すると、企業のステージはどんどん上がっていきます。
しかし、ブーム・流行が過ぎ去ってしまうと戦略や方針を大きく転換しなくてはなりません。
そんなときに会社は資金繰りが悪化し消滅してしまいます。
つまり、「不易」と「流行」の両立が大切というわけです。
京都の老舗の「一見さんお断り」の考えは長期的経営を見据えた良い例ですね。