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肌より先に

ワンピースを誂えた。

「誂えた」というとなんだか仰々しいが、ちょうど弊社で展示会をしてくださったデザイナーさんの既存のデザインを、袖や丈を私に合わせて作っていただいたのだ。

「服は肌より先に抱きしめられる。」

昔むかしに目にした、どこかの百貨店のコピー。意味はもちろんその当時から分かっていたのだけれど、今回その誂えた服に袖を通した時、ふとその言葉を思い出し、身体中でその本当の意味を痛感したような気がした。

ただ立つ、座る、歩く。いつもの動作が何倍も美しく、そして誇らしくなる。

まるで洋服自体が生きているみたいに、私のどんな動きとも共にある。自分だけの洋服、とはこんなにも居心地がいいものなのか、と膝を打った初夏。

平山千晶

料理家・細川亜衣の主宰するtaishojiに勤務。 街中から車で15分ほどとは思えない静かで自然豊かな場所にあるtaishojiでの日々は発見の連続。

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