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砂糖醤油と「思い切り」

母と私の味の違いはなんだろうと考えてみると、結局は「思い切り」という一言に集約される気がする。
実家では基本料理をしない私だけれど、唯一お正月は別。
毎年なんとなくおせちの分担を決めて30日くらいから各々のペースで取りかかる。

母の料理は分量を量るということはなく、全てが塩梅。良い、加減、を身体で知っている。
珍しく横に並んで料理をすると、「えっ?」と目を開くような量やタイミングも多々あるのだけれど、食べてみるとちゃんと美味しい。なんだか勢いのある味がする。
代わって私のは何だか恐る恐る、という雰囲気で作ったものはちゃんとそういう味がして、「やっぱりこれも。あとこれも。」と母の割合は一向に減る兆しはない。


つきたての餅は格別のおいしさ。1年の幕が下りるときに、皆でこんな風に集える幸せがまた来年もあればいいな、と思う。

毎年年の瀬には会社で餅をつく。
つきたてのお餅は、大根おろし、納豆、キムチ、途中から温かなスープとともに、最後はぜんざいにいれて食べる。ただ実家では基本、砂糖醤油で食べていたせいか、自宅で食べるときは未だにその習慣が抜けない。

でも何だか違う味なんだよなあ、と思っていたら、砂糖の量が全然違っていたことに気がついた今年のはじめ。(自分比5倍くらい)そんな小さなところにも自分の思い切りの悪さが反映されていて、なんだかおかしくなった。
今年は少しばかり思い切りのよい人になりたいものである。

平山千晶

料理家・細川亜衣の主宰するtaishojiに勤務。 街中から車で15分ほどとは思えない静かで自然豊かな場所にあるtaishojiでの日々は発見の連続。

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