本誌5月号にて掲載のコラムで書かせて頂いた、木材とウイルスのすごいお話。
最近発表された九州大学のデータによると、熊本産のスギ・ヒノキの無垢材は、木の表面に2時間作用させたインフルエンザウイルスの感染力を99%以上抑える力があることが判明した。
(2021年3月発表、九州大学・熊本県調査より)
コロナ禍で不安なくらしが続く中、家づくりに木を使うっていいのかも…
そんな気持ちにさせてくれる、木の明るいニュースでした。
実はさかのぼること15年ほど前、
この前章ともいえる有名な実験が、小国町にある中学校で行われました。
1組は小国杉の机とイス
2組はよく見るスチール脚に合板を使った机とイス(新品)
3組はよく見るスチール脚に合板を使った机とイス(ずっと使ってきた古いもの)
それぞれを使いながら4ヶ月間過ごしてもらって、体に何か影響があるのかを調べる実験です。
実験の結果は。
生徒たちの唾液を調べたところ、1組では、唾液中の免疫物質がなんと37%も増加。
2組は1.7%増加、3組は4.4%増加に留まりました。
インフルエンザが流行した時期も、1組は欠席が少なかったそうです。
唾液中に含まれていた免疫物質は、
細菌毒素やウイルスへの第一次防御の役割を担っているそうです。
いわば、私たちの体を菌やウイルスの侵入から守るための第一の壁。
その免疫物質を誘発するのが、小国杉から放出されるセスキテルペンという物質。
つまり、小国杉(スギ)をくらしの空間に取り入れるということは、
風邪などのウイルスへの抵抗力がアップすることが期待される…
こんなにわかりやすく、スギの持つパワーが目に見えるとは驚きです。
そして無垢の木の強みは、古くなってもリペアができるということ。
磨いたり、傷んだ部分を取り換えたりすれば、香りも良い成分もまた放出されます。
もちろんスギ以外にも、木によっていろいろなパワーがあるかもしれません。
視覚や香り、手触りなどでもうれしくなるのが、天然の木の良さ。
おうち時間が長くなった時代だからこそ、
ぜひ住まいやくらしの中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
メーカーさんや設計士さんに相談です!
この実験は、林野庁の資料にもしっかり掲載されています(8ページ)
https://www.rinya.maff.go.jp/j/riyou/riyou/pdf/all-1.pdf