冬の朝に花が咲いた。
先日taishojiにて鹿児島の郷土菓子ふくれの教室をしていただいた翌日、朝起きた瞬間からお腹がとても空いていた。ただ格段特別なことではない。基本、朝目が覚めるときは空腹なのだ。
昨日の湯気の幸福感を思い出し、布団からいそいそと抜け出してキッチンに立つ。蒸している時間以外はほとんど一瞬でできる。蒸しながら、あっ!と思い、近所の友人に電話をする。「朝から突然ごめん。あのさ、あと20分くらいで我が家に来れたりしないよね?」
タイマーが鳴り火を止めてセイロの蓋をあけると、大きな花が咲いていて、朝から心にも花が咲くように嬉しくなる。そのままちぎって、途中からバターをのせて、おかわりをしながらどんどん食べる。
急に電話した友人は生憎突然すぎて間に合わなかったのだけれど(そりゃそうだ)、出勤途中に友人宅に立ち寄りセイロごと、バターも添えてお裾分けした。電話をしたあと周りを見回せば洗濯物は干してる途中だし、鏡のなかの私もぼさぼさの髪のままだったが、そんな時でも、共有したいと思える風景が目の前に広がった時(広がりそうな時)自然と電話に手を伸ばして会いたくなるような友人がバターも溶けない距離に住んでいる幸せよ。そういうひとが近くにいるおかげで、食卓にも、心にも何度でも花が咲くのだ。