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四月一日くん

わたぬき君。高校の塾で隣りのクラスだった、もう顔も覚えていない男の子のおかげでそんな名字もあるんだなと知り、少しばかり羨ましかったのを覚えている。高校時代、私には同じ苗字も名前も、それぞれきっちり3人ずつ同級生にいたから。

器も春。

こないだ昼・夜と友人たちが代わる代わる遊びに来てくれた。冷蔵庫の中身と気分を伺いながら手を動かす。お昼は蒸しずし、ゆで鶏、鞍掛豆と豆腐のスープ、春野菜の白和え、ココナッツゼリー。合間に本屋さんと美術館ともう一軒別の本屋さんへ行く。ひとりは初めましてのひとだったのに、昨日もそうしていたように、また明日という気軽さで道の真ん中で手を振って別れた。足早に家に帰り、パンフリットを仕込む。この日も飽きずにチーズ入り。近くに住む友人に余った蒸し寿司を届けたら焼きたてのパンになって返ってきた。

大好きな家族がくる。新玉ねぎのフリッタータ、メインは朝から煮ていたいただきものの猪。豆と蒸したお芋(じゃがいもとさつまいも)を添える。最後に山盛りのレタス。

春の音がすると、毎年蒸し寿司が作りたくなる。

一昨日、久しぶりに泰勝寺まで歩いて出勤してみた。歩き花見をしながら、いままで通ったことのない小道に分け入って子どもの頃みたいに、視野をぐんぐん狭くして進む。まさか黒髪(街の名前)で迷うとは思っていなかったけれど、盲目的に進んだ先に知った気でいた世界の新しい一面に出くわすなんてとっても愉快。

春。別に正式な御触れはなにもないけれど「四月一日」は春のはじまりみたいな気持ちになる。

今回でこのブログは終了、となりますが、またどこかでお会いできたら嬉しいです。

皆さま、どうぞ良き春を。

平山千晶

料理家・細川亜衣の主宰するtaishojiに勤務。 街中から車で15分ほどとは思えない静かで自然豊かな場所にあるtaishojiでの日々は発見の連続。

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