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隣のあゆみちゃん

色んなことを自分で選んで決めれるようになったような気でいる。

住まいもそのひとつで、家賃、最寄りの駅や広さ、もっと細かな色んな条件をつけて検索すると、「あなたにぴったりです」という家をあっという間に探してくれる。

でもそんななか住むまで分からないのがお隣さんだ。年齢・家族構成・職業、打って変わってほとんどこちらには選ぶ手立てがない。

新居は窓が大きく、晴れた日は影絵が綺麗。

一番最初のお隣さんは4歳ほど年上のあゆみちゃん家族だった。

まだ小学校にあがる前。一緒に絵を描き、日曜日の朝はどちらかの家でアニメを見たり、塀1枚で仕切られた両家を足繁く行き来した。私の引っ越しを機にぱったりと交流はなくなったが、いまでも昔の家の近くを通り過ぎると、ふとその時のことを憶いだす。

半年前、引っ越す前までの家のお隣には仲睦まじい老夫婦が住んでいらした。

階段での挨拶から始まり、だんだんとお話しするようになって、例年より自宅にいることが多かった去年の春は毎日のように野菜や果物、炊いた煮物などを差し入れて下さった。

つい先日、廊下で最新のお隣さんと出くわし、「実は今日引っ越しで、、」と突然告げられた。短い期間でしたが、と別れの挨拶をし、「はじめまして」と菓子折りを持ってインターホンを押した日をつい昨日のことのように思い出した。

お隣さんは出会いも別れも突然だ。

「隣のあゆみちゃんに会った!」と父から電話があったのは奇しくも同じ日だった。近所の新しい商業施設で偶然出くわしたらしい。彼女の話を聞いたのは小学生ぶりだったような気がする。いままでのお隣さんを思い出す。出会って、別れて、もしかするとあゆみちゃんのようにまたばったりと出会うこともあるのかもしれない。

はじめまして、こんにちは、さようなら、を繰り返す不思議な「家」という縁で繋がれたわたしたち。ただ隣りに住んだだけの、でも、愛しいひとたち。私はこれから何人の「お隣さん」と新しく出会うのだろう。

ブルーベリーの実がふくらんできた。小さな庭にはつい所狭しといろいろなものを連れ帰ってしまう。

平山千晶

料理家・細川亜衣の主宰するtaishojiに勤務。 街中から車で15分ほどとは思えない静かで自然豊かな場所にあるtaishojiでの日々は発見の連続。