小国の町の中心部を一望できる神様の森、城山大神宮。
お社を囲む木々は、樹齢200年を超える大樹ばかりで、壮観です。
長い時を生きてきた木々は、中が虫に食べられていたり、腐っていたりすることがあります。
台風などで倒れたら、周辺の家屋や人への被害があるかもしれない。
そういった理由で、神社を守ってきた地域の皆さんと相談し、大樹たちは一度伐らせて頂くことになりました。
大樹の伐採現場には、技術あるベテランの木こりさんたちが集結します。
そして緊張感。
相手は、人間の何倍もの大きさ、重さがある木の塊です。
チェーンソーで伐っている時に、もしそれが自分に向かって倒れてきたら。
木こりさんたちはその、万が一の事故が起こらないよう
1つの方向に狙いを定め、確実にそこに伐り倒す。技術力と精神力、経験値を持っています。
刃渡りが1mもあるチェーンソーで樹に切れ目を入れ、
後ろからじわじわと衝撃を与えると、
その大きな樹の体はふわりと傾き、地面に吸い込まれ…
その瞬間はスローモーションのようで、でも一瞬で。
感動と、怖さと、祈りと、いろんな感情が体内を駆け巡ります。
倒れた地響きと、風圧と、砂埃に木片。そして生きた木と土の香り。
そして、無事終わったという安堵感。
「やっぱ怖いなあ」そういって明るく笑う木こりさん。
この緊張感は、ふつうに暮らしているとなかなか体感できるものではないですが、
人が本来持っている感覚を揺さぶってくれる、生き物であることを思い出させてくれるような何かがあります。
大樹に限らず、木の家となるために伐り出される木々たちも、同じく。
木の家を建てるなら、木を値切ってはいけないですよ。
伐り出して木材を生む人たちの、命を値切ることになりますから。
正当な価格で買わないということは、
産業も、地域も、大地の力も、衰えていって、
やがて自分に、そして次世代の子どもたちに返ってきますから。
木の家ができるまでの向こう側、ぜひご覧ください。