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店選びの嗅覚。

出張に行った時の楽しみといえば、ご飯屋選び。
もちろん、仕事相手の方が探してくれたり、決めてくれたりするお店も楽しみだけど、
自分の嗅覚に従うのも、めちゃめちゃ楽しい冒険だ。

過日の鹿児島。
次の日の早朝撮影のために前乗りした鹿児島で、
わたしはお腹を空かせていた。

クライアントでもあり友人でもある仕事チームと合流し、
さあ腹を満たすぞ!
と意気込んでいたけれど、
連れて行かれた店に拍子抜けした。

知ってはいたけど、行ったことはない所で、
良店なのは知っていたけど、角打ちのようなお店。
わたし調べだと、2軒目か3軒目でしか選ばないお店だった。

色々事情があり、お客さん連れで決まった店だったというけれど
わたしの「腹を満たすぞ!」がどうも叶わないメニューのラインナップ(失礼)で
空きっ腹にただただビールを流し込んだ。
(ただ、出てくるアテの美味しさに夢中になった。ありがとう、また行きます)

店を出る時間になり、次の店(=ごはん)はどこだと
意気揚々とネオン街を進む。
あのホルモン焼き屋もいいし、あの地鶏屋も捨てがたい、声かける、もう閉まる、
そんな微妙な時間帯で、だんだん空きっ腹+ビールのお腹が辛くなる。

そんなとき見つけた看板。

読みづらいカタカナの店名、ガタガタのフォント、鈍く光るネオン
町中華のお店だ。
同じビルの2階からはしゃぐ男女が降りてきたので
ボーイのような人に「ここの中華って美味しいですか?」と
無謀にも聞くし、「まじうまいっす」と答えてくれるボーイ、最高です。

そんな後押しもあり入店。
油でくもった蛍光灯がほんのり青白く照らす店内で
酔っ払いが麺だの餃子だのに夢中だった。

そこには酒のアテはなく、
ひたすらに空腹を満たす手札が並んでいた。

と言っても、酒モードな私たちは
お腹も満たしたいけど、この後行くラーメン屋のことが気がかりだった。
鹿児島に行くと必ずここで〆るというラーメン屋がある。
そこは絶対なので、そのためのお腹をある程度空けておかなきゃならなかった。

悩んだ末、ギリギリ酒のアテになりそうな野菜炒めと焼き豚を頼んだ。
はぁ、なんでこんな美味しいん?
期待を超えてくる美味しさに
3人で目を見開いた。

それからはリミッターが外れ、何も考えずにチャーハンやら餃子やら
食べたいものを食べたいだけ頼んだ。
我らの嗅覚、間違いなし。

店選びの嗅覚、だいじ。
もちろんこの後、ラーメンも食べました。

photo by naturaclassica

大塚淑子編集・カメラマン・ライター

1985年生まれ、福岡県八女市出身。熊本を拠点に編集者・フォトグラファー・ライターとして活動中。かためのプリンとコーヒー味のおやつに目が無い。

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