「日本酒の会」なる“さけずきの集い”を結成し、もう4年になるだろうか。メンバーは私たち夫婦と友人・後輩夫婦の6人。各自で見つけた「今呑みたい」日本酒を持ちより、いずれかの家で、それに合う手料理とともに酔い時間を過ごそうというゆるい会だ。
実はこの会、料理を担当するのは3人の夫たち。洋食担当、和食担当、キャンプめし担当…と、うまい具合に得意なジャンルがわかれているのはラッキーだった。妻たちは新調した酒器を見せあったり、赤子をあやしたり、次々に運ばれてくる料理にひたすら舌鼓をうつ。
私はご馳走が並ぶダイニングでだしの香るおでんをホフホフとほおばり、キッチンから離れない夫たちを眺め、吉本ばななの『キッチン』の、あのフレーズを思い出している。「わたしがこの世で一番好きな場所は台所だと思う」。
この原稿を書いていると『キッチン』を再読したくなった。ちなみに冬の会は、福島の“燗誂(かんあつらえ)”、福岡の“フェリーチェ”、熊本の“花雪”などのラインアップで望む予定。
執筆者・福永 あずさ Azusa Fukunaga
熊本市在住のフリー編集者、ライター。カメラマンの夫と茶トラの愛猫(♂)の2人と1匹暮らし。日本の酒場をめぐるひとり旅がライフワーク。今年挑戦したいものはタップダンス。
*『くまもとの家と暮らし』01(2020年1月25日発行)の記事より再掲載しました。